徳島からBoa tarde

徳島ヴォルティス関連のこと。

ラバイン監督 バスク現地紙インタビュー

goiena.eus

 

ヴォルティスのラバイン新監督。ついにバスク現地紙に、彼のインタビュー記事が掲載されました。

彼が監督になってから、彼へのインタビューが現地で初めてしっかりとした記事になったのではないかと思います。

 

徳島を応援する者の一人として、彼のことを深く知りたいという思いでバスク語の勉強をしてきました。就任のリリースから始めて約1か月半勉強してきたわけですが、この勉強は誰かのために使ってなんぼ、ということで、上の記事を訳してみました。

訳し方がどうしてもよくわからない、というところもあり、完璧ではないと思いますが、誰かの役に立てばと思い、投稿します。

それではどうぞ!

 

 

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ベニャート・ラバイン「徳島はイマノルのラ・レアルから多くのものを得るだろう」

 

レアル・ソシエダの分析官として4年間働いた後、ベルガラ出身の男は日本に到着した。2部で戦う徳島の監督には、昇格するというミッションが与えられた。

 

(注:ベルガラというのは、ソシエダの本拠地があるサン・セバスティアンが位置するギプスコア県の基礎自治体の一つです

 

ベニャート・ラバイン(ベルガラ出身、1987年生まれ)は、変わったクリスマスを過ごした。自分の地元のクラブでゆっくり過ごし、これまでのようにラ・レアルでの仕事を楽しむ代わりに、地球の反対側へと移動して、日本のJ2リーグで戦う徳島ヴォルティスと契約を結び、そこで働く準備を進めていたのだ。ベルガラ出身の男はアジアから彼に届いたオファーにNOと言えず、シーズン前の準備に没頭し、チームと一緒にいる中で、ゴイエナから電話を受けた。彼は日本で暮らすことは気に入っているが、監督という仕事と分析官という仕事は違うものである。「私が責任を持っている人々がたくさんいて、そのプレッシャーを感じています」

 

(注:ゴイエナというのは、この記事を掲載した現地紙の名前です。これからも、ラバイン監督や徳島の記事を出してほしいな・・・

 

ーここ数シーズン、あなたはラ・レアルの分析官でした。アシエル・ガリターノとも働きましたし、その次はイマノル・アルグアシルとも一緒でした。地元のクラブで働く中で、史上最高の成績を収めています。それでも、あなたは日本に行くことを決めました。最近ではコンフォートゾーンを抜けるといわれているような行動ですね。

 

そうかもしれないですね。ただ、自分には監督になりたいという思いがあることははっきりしています。日本は、私にとって素晴らしい選択肢で、イマノルがオファーを受けるよう勧めてくれたことも決定的な要因でした。私たち2人はよく、このテーマについて話し合って来ました。彼は私の夢が監督になることだということを理解してくれていましたし、イマノルやオラベが受け入れてくれたことは、私がここに来ることを決めるにあたり非常に重要なことでした。もし彼らがこの決断についてあたたかく受け入れてくれていなかったら、私はここには来ていなかったでしょう。

 

(注:アシエル・ガリターノは、ソシエダの元監督、イマノ・アルグアシルは、現ソシエダ監督ですね。オラベというのは、ソシエダのスポーツディレクターのロベルト・オラベさんのことです。ざっくり言ったらこの人がソシエダをどのように強化していくか決めているわけですね。ソシエダの分析責任者だったラバインさんをよくぞ徳島に送り込んでくれたって感じです。

 

ー最初の数週間はどうですか。

 

素晴らしいです。2月18日にリーグ戦がスタートします。相手は大分です。日本ではカレンダーイヤーに沿って試合が行われるため、2つの季節をチームと過ごすことになります。徳島のことを理解するための時間はありません。夏まで中断することがないのです。そのため、クリスマスまでベルガラに戻らないでしょう。

 

ー日本についてはどのように感じていますか?また、徳島というクラブはどうですか?

 

日本は暮らすのに素晴らしい場所で、気に入っていますよ。先ほどお話しした通り、この数週間で2回徳島に滞在しましたが、シーズン前の準備で忙しかったため、徳島に長くいることはできず、街のことを理解する時間はとれませんでした。一方でクラブには、いい意味で驚かされました。良い仕事をするために必要な全てのリソースや、素晴らしい設備があり、優れたグループが働いています。コミュニケーションの面も配慮をしてくれています。徳島は、トップクラスのクラブの構造を備えていると思います。

 

ーより大きな意味で、家族にとって、という意味も含めてではどうですか。

 

間違いなく、その意味では私は非常に幸運です。私の妻はマドリードで働いていましたが、私と一緒に日本に来るためにその素晴らしい仕事をやめました。娘は1歳ですが、私が家族なしで来るのと、家族のサポートがある中で来るのとでは全く異なります。その意味で、彼らは非常に努力してくれましたし、彼らが幸せでいるようにすることが大事です。間違いなく、この点が最も大事なことです。なぜなら、もし監督として働くことを気に入っていたとしても、家に帰って家族が元気でなければ、自分自身の元気もなくなってしまいますからね。

 

ークラブでは、あなたの近くに素晴らしい人々がいますよね。

 

そうですね、このように働くときは、信頼できる人々がそばにいることがとても大事です。サルディバルにいたアイトール・マイステギがフィジカルコーチとして私と一緒に来てくれました(マイステギはアラサーテに家族あり)。マドリードで私たちは一緒に学び、常にコンタクトをとってきました。そしてシシもチームのアシスタントコーチとしています(シシーニョ・ゴンザレス・アルバセテ 1986年生まれ)。シシは5年間日本でサッカー選手としてプレーしており、日本語をマスターしています。

 

(注:アラサーテは、先ほどのラバインさんのベルガラと同様、ギプスコア県の基礎自治体です

 

ークラブの首脳陣は、あなたに何を求めているのでしょうか。

 

リーグの昇格をすることを、徳島という若いクラブは望んでいます。クラブは以前は、日本のより高いレベルのリーグにいました(J1リーグと呼ばれるリーグ)。このクラブは2回の昇格を経験しています。最後に昇格したのはリカルド・ロドリゲスが監督だった2020年ですが、残念なことに翌シーズンに降格してしまい、一部に戻ろうとしているところです。何はともあれ、穏やかなクラブだと感じています。つまり、穏やかに、リラックスして仕事ができるということです。このクラブには、とてもたくさんのラ・レアルに似たところがあります。選手たちの年齢が若いチームであること、昨年のチームの主力が残っていることなどです。さらに、最近締結されたラ・レアルとの契約のおかげで、これから3年間、ラ・レアルのコーチたちが、スビエタの方法論を伝えにここにやってくることになっています。

 

ークラブは素晴らしいプレゼンテーションをしましたよね(Youtubeで視聴可能)。そこであなたは目標は昇格することだと言いましたが、頻繁にそのことについて話したいわけではないということも語りました。

 

なぜなら意味がないからです。つまり、チームの主要な目的が何かを知ることは良いことですが、それについていつも話すことはできないからです。私たちがコントロールできるのは日々のトレーニングで、そこに力を入れる必要があるのです。

 

ーこのイベントの中で、あなたは選手たちに対して、勇敢であってほしいということと、あなたが伝えたことについて違う考え方を持った時は恐れず教えてほしいと伝えました。

 

その通りです。日本人は勤勉ですが、文化的に、従順であるという特徴を持っています。選手たちは私たちの考え方を非常に早く理解してくれますが、私がピッチ上で要求することは、勇敢であり自分自身の個性を持つことなのです。

 

ー日本のサッカーについてはどのように考えていますか?

 

技術的には、このリーグには素晴らしい選手が非常にたくさんいます。素晴らしく組織化されたクラブがあり、分析にも力を入れています。プレー面については、組織化されており、それぞれのチームが様々な特徴をもっています。また、多くのブラジル人選手がプレーしています。

 

ー(徳島は)昇格することができるレベルのチームですか。強いチームなのでしょうか。

 

チームにはとても満足しています。37人選手がいますが、私が選べる選手はそれがすべてです。カンテラのチームはありません。すべての選手がトップチームに所属しますが、ケガする選手が出ることに備え、各チームに30人以上の選手が所属することが一般的なのです。技術的に素晴らしい選手たちがいますし、新しい選手との契約でチームが強化されていきます。また、その新しい選手の契約については私も関わることができます。とても幸せなことですよ・・・。

 

ーラ・レアルでの分析の仕事と、徳島での集団をまとめるという仕事では異なる点があります。試合の結果に応じて、ファンやメディアからの注目を受けるという点です。分析官にはない部分です。

 

全く違う部分ですね。ラ・レアルでは分析官としてすべき仕事がたくさんありましたが、かなり穏やかに過ごしていて、プレッシャーを背後に感じることはありませんでした。今はプレッシャーがあります。私自身に目が向けられていて、そのプレッシャーを感じています。試合や対戦相手の分析をするだけでなく、チーム全体を動かし、メディア対応もする必要があります。今はしなければならないことがたくさんあり、私が責任を持っている人々がたくさんいます。非常に大きな責任を持つことになり、そのプレッシャーは感じています。

 

ーでも、「好きなところに坂道はない」ですよね。

 

(注:インタビュアーの方のこの質問、訳が難しいところです。直訳だと上のような感じなので、おそらくバスクのことわざか何かで、「好きなことなら大変でも乗り越えられる」みたいな意味かな、と解釈しました・・・。バスク語わかる方、教えてください・・・。原文は、gustuko tokian aldaparik ezです)

 

私が好きな言葉ですね。若い時はベルガラでサッカーをプレーし、若いカンテラのチームで監督を務め、その後はマドリードで勉強してアトレティコ・マドリーレアル・マドリー、スペインサッカー連盟、リーズで仕事をしました。いろいろなところに行きながら、監督になるための訓練をしてきました。そうして、監督とはどのようなものかを学ぶために、イマノルと時間を過ごしました。

 

ー徳島はイマノルのラ・レアルからどれくらいのことを得るでしょうか。

 

おそらく、たくさんのことを得ると思います。私は結局4年間ラ・レアルにいました。最初から、イマノルと私はとても良い感触を得ていましたし、サッカーについてたくさん話しをし、非常に多くの考え方を共有しました。サッカーについてのアイデアや、ラ・レアルが試合で見せるプレーが私の中に深く根付いています。もちろん、私自身の考え方というのも持っていますが、イマノルと過ごした数年で受け取ったものは私のノートに写してありますよ。

 

ー数年前アノエタでは陸上トラックの撤去の必要性がうたわれましたが、徳島のスタジアム(ポカリスエットスタジアム)には陸上トラックがあります。

 

そう、その通りです。日本のスタジアムの多くには陸上トラックがあります。しかし、試合の時のホームスタジアムの雰囲気は非常に素晴らしいと聞いています。パンデミッックの前は9,000人が試合を見に来ていましたが、コロナウイルスによって、平均入場者数は5,000人に減少しました。昔の数字まで戻したいところですが、日本ではパンデミックの状況がまだ続くようです。一方で、クラブは新しく、柿谷曜一朗選手と契約を結びました。日本ではよく知られた選手で、ファンたちの期待は高まっています。

 

ーあなたの兄弟のイボンは今ログロニェスでコーチをしています。家族が皆サッカーファンなのですか。

 

(注:ログロニェスはLogroñésで、バスク州の隣のラ・リオハ州ログローニョが本拠地のチームです。3部相当のプリメーラ・ディヴィシオンRFEFに所属しているチームです

 

そうですね、面白いですよ。3人兄弟で、2人は監督をしています。イボンは技術者の勉強を始めたのですが、その勉強はやめて監督の勉強をするためにマドリードに来ました。私もマドリードにいたのですが、それぞれ違う道を進みました。彼はインドや中国にいったり、アトレティコ・マドリーでチョロ・シメオネのもとで分析官として働きもしました。そして今はログロニェスにいます。

 

ー有名だった選手の方が、トップレベルの監督になることが簡単なのでしょうか。

 

わかりませんね・・・。今の時代は、監督になるには素晴らしい訓練を積まないといけないと思います。有名だった選手の方が監督になることはもしかすると簡単かもしれませんが、そのあとに、一緒に働くメンバーから監督に値しないと思われるのではないでしょうか。監督に値しないということはすぐに気づくことです。

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以上、ラバイン監督のインタビューでした。

 

一番最後の質問が結構唐突に来たのでなんでかなと思っていたのですが、実は違う媒体が兄弟のイボンさんにも同じテーマでインタビューをしていたようで、それにかけた質問なのかな、と思いました。

イボンさんは「もし元プロの選手でなかったら、監督になるのはより難しくなる」と話しているようです。

 

徳島について、いい印象を持ってくれていることがわかる記事でした。

自分自身の地元の現地紙に語っているわけですから、本音を語っていると思います。

 

分析官から監督になることについては、少なからずプレッシャーを感じているようですね。

全く知らない土地で、新しい仕事に挑戦するラバイン監督。

監督人生をスタートする場所を徳島に選んでくれたこと、徳島に住むひとりとして本当にうれしく思います。改めて、彼に素晴らしい体験をしてもらいたいなと思いました。

監督人生のスタートが徳島でよかったと思ってもらえるように、徳島を応援する皆で、彼やチームに力を与えられることをしていければと思います。

 

新体制発表会のプレゼンの中で監督が語っていたことが心に残っています。

「週ごとの試合のために最高の自分たちを常に目指す。仮に負けたときにどう在れるか?その時に私たちの「理由」が、私たちが進むべき道を明確にし、勝とうが負けようが言い訳は一切なしに、逆境と敗北の中でこそ常に全員が団結するように」

 

長いシーズン、良い時ばかりではないと思います。例えばもしかすると開幕すぐは、うまくいかないかもしれない。

そんなときでも、徳島ヴォルティスにかかわるすべての人が団結しようとしている姿を監督に見せることができれば、彼は「徳島に来てよかった」と思えるのではないでしょうか。

 

2/19、新生ヴォルティスの開幕が楽しみです!